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企画・経理部門向けコラム ~業績管理~

実効性のある予算制度と事業計画の作成

好きなスポーツのチームが負けた時、その監督の話を聞いて釈然としないことはありませんか?

「自分たちの試合ができなかった」(自分たちの試合って何?)、「十分な準備ができなかった」(試合日程は決まってたのに)、挙げ句には「相手が強かった」(そんなことわかってるでしょ!)

 他にも多々あろうと思いますが、釈然としないことの多くの理由は結果を「たら・れば」で評価していることにあるのではないかと思います。

こうしたことは、月次経営会議などの経営の現場にもあるものです。そこで、『しっかりと「管理」をせい!』と掛け声がかかるわけですが、この「管理」とは何を管理するのでしょうか?

と、いきなり言われても答えに窮するかもしれません。しかし、『「何を」管理するのか』の「何」が特定できないと管理のしようもないものです。

ここでは、

①「予算」を管理する

②結果が出るための「プロセス」を管理する

③勝つための「居場所」を管理する

と3つに分けて述べていきたいと思います。

①「予算」を管理する

経営における管理とは、PDCAサイクルを実行すると定義つけることができるものです。

PDCAサイクルとは、企業の活動を、Plan-Do-Check-Action(PDCA)という観点で管理するフレームワークで、

①Plan:目標を設定しそれを具体的な行動計画に落とし込む。

②Do:組織の中での役割を決めて人員を配置し具体的な行動を指揮して実行する。

③Check:成果を測定・評価する。

④Action:必要に応じて修正を加える。

一連のサイクルが終わったら、反省点を踏まえて次期へのプロセスへ入り、次期も新たなPDCAサイクルを進めるというものです。

 ここでのPLANがまさしく「予算」に該当するものです。予算がなければそもそも何を管理しようということが確立されなくなり、人によって管理のための言うことが違うということになりかねません。

 したがって、経営管理を行うに際して予算管理を行うことについては基本中の基本と位置付けることができます。

 また、予算を策定していくことに際し、それを実効性あるものにするには、これから述べることが重要です。

② 結果が出るための「プロセス」を管理する

 例えば、サッカーで「2:0」で勝ちたいとの目標があるとします。ここで、2点とるためにどうすればいいかのための戦略が何もなく、ともかく2点とって0点に抑えるのだと言っても実力を伴って勝つことはできません。

どうすれば2点とれるのか- ボールの支配率を高める、パスミスをなくす、運動量(走る量)を高める、というプロセスを定め、そのプロセスを高めるように管理すべきです。

よく結果が大事なのか(たまたまの結果かもしれない)、プロセスは評価してくれないのか、ということが議論になります。ここで大事なことは結果であることは言うまでもなく、スポーツでもビジネスでも結果で評価される世界であるべきでしょう。

しかし、結果を出すための行動の評価を結果だけで評価してしまうと「たら・れば」の評価になってしまうものです。そこで必要なことは、結果を出すためのプロセスを戦略的に定め、そのプロセスの実行状況を評価することを結果を評価することに加えることです。

業績管理はどの会社でも行っているものと思いますが、多くの会社が、売上や利益といった結果指標だけを管理しているように思われます。売上や利益の目標を達成するために、プロセス指標を定めてそれを評価していくことが有効です。

③ 勝つための「居場所」を管理する

 もし、多くの居酒屋がある繁華街の居酒屋の店長に就任したらどのように業績を伸ばしていきますか?

 例えば、他の居酒屋とメニューが同じ、座席も同じと、何ら特徴がない店にしてしまったら、既存の居酒屋に顧客は流れていくでしょう。こうした場合は、値段を下げることしか顧客を取り込むことができなくなり、価格競争の悪循環に陥ります。

 居酒屋を営む場合、全ての見込み客を想定するようにしてしまうと特徴がなくなってしまいます。そこで、料理のジャンル、顧客層、価格帯、どのようなことを差別化していくことが有効です。

 また、「選択と集中」と言われるように、自社の得意とする事業分野を明確にして、そこに経営資源を集中的に投下することも有効です。経営資源が無限にあるという理想的な環境は永遠に訪れません。資金や人といった経営資源は限られています。その限られた資源をどこに投下するか-。それを策定していくことが経営です。

 これまで述べてきたように、企業は持続的な成長を遂げていくために確固とした経営管理を行っていく必要があります。

企業の経営環境の変化は激しく、企業はこれまで以上に、「経営スピードの向上」「経営の見える化」が求められています。さらに、企業が取扱う会計データの件数は増加しており、高性能かつ柔軟な会計システム基盤の構築が必要になってきていることも銘記しておきたいものです。

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