ページトップへ

出版のお知らせ【システム導入に失敗しない プロマネの心技体】

  • 昨今の企業の成長条件には、システム導入が欠かせなくなっています。
    しかし、システムが専門外の経営者や管理者は、システム導入に関わることを敬遠しがちになります。

    そこで、ITを丸投げしがちな経営者・管理者向けにシステムを導入する上でのポイントをまとめた本のご紹介です

  • プロマネの心技体

  • はじめに

    風邪がなかなか治らないな…と咳き込む日が続いたことがありました。そのうち、ヒューヒューと喘鳴(ぜんめい)が聞こえるようになり、医者に診てもらう必要があると思いつつ、仕事も休めないので職場に近い医院をネットで探しました。

    「咳喘息」「喘鳴」「○○区」のキーワードで検索すると、上位に呼吸器内科・アレルギー内科の医院が紹介され、症状や院長の経歴、診断の特徴などが詳しく説明してある良さそうな医院なので行ってみると、びっくりしたことがありました。

     受付で「初診は予約制ですか?」と聞くと、申し訳なさそうに「そうなんです。でも予約は○○日まで一杯で……」と1カ月先の日にちを伝えられました。5年前に開設した医院で、ちょっときれいな町医者の予約が1か月もとれないなんて、まるで大学病院かと思ったほどの衝撃でした。これほどまでの人気は、口コミもあるでしょうが、ホームページの宣伝効果が多大にあったはずだと確信しています。

     インターネットによるマーケティングは日増しに重要になってきています。したがって、どんな会社でも「ホームページを充実させよう!」との意識があります。ところが、トップマネジメントの方が、ITのことはよくわからないから……、コストは可能な限り安く済むよう……、と思われていることがあります。

     もし、営業上の重要な顧客訪問であれば、社長自ら会いに行かれることでしょう。そして接待の機会があれば最大限にもてなすことでしょう。ITの利活用が時代の必須事項となっているのに、会社のトップが目を背ける、業者や担当部門に任せきりにする、投資をしない、ここに会社の成長を妨げる大きな要因があるものです。

     そういう会社のホームページは「そこそこ」のレベルでしかなく、そこから莫大な営業成果をもたらすことはありません。しかし、そのような会社に限って「ホームページでセミナー案内をしても申込者が少ない」、「製品紹介をしているのに問い合わせが来ない」という不満を持っています。そんな会社では、ホームページ制作の稟議書が回ってきた折に、トップの方は「ボーっとハンコを付いているだけ」に違いありません。すると、IT施策が負のスパイラルに陥り、RPAやブロックチェーン、IoTなどの技術を享受できず、業績が向上しないばかりか、社員のやる気も下がります。

     話は変わりますが、本書を読んでいただきたい読者層の方々は、漫画の「あしたのジョー」をご存知であることと思います。その漫画では、主人公のジョーが非行を続ける少年で犯罪にも手を染め、警察に逮捕されて鑑別所へと送られ、そんなジョー宛てにボクシングの師匠である丹下段平が「あしたのために」との書き出しで始まるはがきが届けられるシーンがあります。その内容の一つが、左ジャブの打ち方から始まるボクシング技術の講義で「ひじを左わき下からはなさない心がまえで、やや内角をねらいえぐりこむようにして打つべし。」と書かれています。そして、ジョーの「打つべし!打つべし!打つべし!」とのシーンを覚えていらっしゃることと思います。

    本書では、そのような言葉を『寸鉄』(短くて人の心に食い入る言葉。警句)という形でたくさん書き下していきたいと思います。そして、本書を通して、会社が発展し、社員の皆さんが成長していかれることを切に祈っています。

  • 第1章 システム導入の失敗例とその対策

    システム導入の失敗例といえば、何を思い浮かべますか?

    銀行のシステム障害で取引ができなくなることや、情報漏洩が起こること、さらには、システム開発を依頼した会社と裁判紛争を起こしてしまう、ということがありますし、専門誌の「動かないコンピュータ」の類の記事として取り上げられてしまっても失敗と言えるでしょう。

    しかし、もっと恐れないといけない失敗例があります。それは「新システム導入をしない」「古いシステムを刷新しない」という無策によって、システムの良し悪しによって、競合会社に負けてしまい、業績が悪くなってしまうことが起こります。

    ホテルや飛行機を予約やピザを注文しようとするような際、サービスの内容ではなく、システムの使い勝手で決めてしまうこともあるものです。

    システム導入での失敗例にはどのようなものがあるか、そうならないために、どのような対策を施せばよいのかをご紹介します。

  • 第2章 「IT活用の金持ちA様」と「IT軽視の貧乏B様」

    システム導入の稟議が回ってくると、またこれだけ金がかかるのか、少しは安くならないものか、と、しぶしぶ承認をすることはありませんか?

     このような場合は、ITを金食い虫(=コスト)ととらえていると思いますが、この人は「IT軽視の貧乏B様」です。

    コストではなく、投資ととらえることをお薦めします。コストと投資の違いはどこにあるのでしょうか?

    一般的に次のように消費・浪費・投資の違いを定義します。

    『消費』 = 「支払=効果(影響)」
    『浪費』 = 「支払>効果(影響)」
    『投資』 = 「支払<効果(影響)」

    『コスト』は消費か浪費(交際費や広告宣伝費にみられます)と受け止められ、『投資』は、支払った金額以上に価値のある効果や影響が期待できるものととらえます。もし、価値が増えるのにためらうことがあるのなら損をすることになります。

    ITにも同じようなことが言えます。システム導入を消費や浪費でなく、投資ととらえてみませんか。

  • 第3章 とにもかくにもプロジェクトを立ち上げよう

    プロジェクトという言葉をよく耳にすることと思います。

    例えば、「新製品開発プロジェクト」「〇〇システム再構築プロジェクト」「働き方改革プロジェクト」などです。

    このプロジェクトの意味は、「業務上の組織とは別に、なんらかの目的を達成するために、臨時で構成される組織やその業務のこと」とされ、定常業務とは別に、一時的に部門横断的に編成されるものです。例えば、「働き方改革プロジェクト」や「新工場設立プロジェクト」、さらには「新製品開発プロジェクト」や「〇〇の問題解決プロジェクト」もあるかと思います。

    大規模なシステムの導入は、システム部門だけでできるものでなく、多くの関係者とのコミュニケーションを必要とするのでプロジェクトとの形態で遂行されていくものです。そして、プロジェクト期間は数年にも及ぶものもあります。

    この章では、課題があるのになぜプロジェクトが立ち上がらないのか、プロジェクトを立ち上げるにはどのような留意点があるのか、プロジェクトを成功させていくためにどうすればよいのか等をご紹介いたします。

  • 第4章 人手不足は「良い業者」を選んで乗り越えよう

    人手不足が慢性的な状況になってきました。ましてITの分野は専門性を要し、人手不足はしばらく解消されそうにありません。人手不足があると、それを解消するために外部の業者に委ねることが多いものです。それが度を過ぎると「丸投げ」になります。

    長年「丸投げはダメ!」と言い続けられてきました。しかし、現実として丸投げが増えてきて、アウトソーシング(自社の業務を委託すること)という言葉が流行ってくると丸投げを否定できなくなってきました。そして、丸投げ自体は悪いことじゃない、良い業者を選ぶことができるなら、むしろ、丸投げでも良いことがあると思えるようになりました。

    人手不足なら、良い業者を選んで外注することで乗り越えればいいのではないでしょうか。ただし、良い業者を選ぶことができなければ、品質を落としてしまったり、高いコスト負担を強いられたりするものです。

    この章では、良い業者を選ぶためのポイントや良い業者を選べなかった場合の弊害などをご紹介いたします。

  • 第5章 システム導入を成功させる心・技・体 ―その1 体(基本)

    システムを導入する場合、どのようなプロセスを経て本番稼働を迎えていくかご存知でしょうか?

    システムのプロジェクトと言っても他のプロジェクトと比べて特別なことはなく、「準備する」「計画をたてる」「実行する」「モニタリングを行う」「本稼働を迎える」という手順です。

    この開発手順は、IT企業やコンサル会社のノウハウとして方法論としてまとめているものもあれば、政府や研究機関によって考案されているものもあります。これらは、いわば戦術です。

    戦術がある場合と、単に「ガンバレ!」「やるしかない!」という掛け声だけの場合を比べて、どのような違いがあると思いますか?戦術がなく、行き当たりばったりで対処するとプロジェクトは失敗していく可能性が高くなります。また、戦術をまとめたものは、多くの事例や見識が含まれていますので、それを手本としていけば失敗を予防することもできます。

    この章では「一般的な戦術」と言われているものを元に、システム導入を成功させるための基本をご紹介します。

  • 第6章 システム導入を成功させる心・技・体 ―その2 技(マネジメントスキル)

    プロジェクトは順風満帆に進むことは少なく、むしろ、前に進むことを妨げることが多いものです。

    この前に進むことを妨げることを「リスク」と称することができます。リスクの発生を事前に想定し、対策を講じることが望まれます。よくプロジェクト管理が重要と言われますが、プロジェクト管理はリスク管理のことと言っても過言ではありません。

    2009年、ニューヨーク郊外で「ハドソン川の奇跡」と言われる飛行機がバードストライクによる両エンジン停止という非常事態に乗客乗員全員が避難できた出来事がありました。その救出劇の模様は映画にもなり、まさに、機長の判断の賜物でした。

    その機長の判断は、その場の思いつきや運・不運のものでしょうか。おそらく長年の経験や、培われた判断力の集大成であったのかと思います。そのような技は一朝一夕で身に付くものではないでしょうが、身に付ける努力はしていくべきです。

    この章では、突然の変化や驚くような課題が生じたとしても、成功へと導いていくための秘訣をご紹介します。

  • 第7章 システム導入を成功させる心・技・体 ―その3 心(ヒューマンスキル)

    プロジェクトを成功させるためにはマニュアルがあれば有効であると言われています。しかし、そのマニュアルが1,000ページを超えて整えられていたところで、それを使いこなせなければ意味がありません。

    また、プロジェクトは一人で行うものではありません。多くの人が関わり、それぞれの構成員がやる気を出して、役割を発揮してこそ成功という成果を得ることができるのです。

    そのためには、チームワークとそれを発揮するためのリーダーシップがプロマネに求められます。リーダーシップは、組織の中で目標を定め、チームを作り成果を出していく能力のことであり、必ずしも、支配的に人を動かすことや先頭に立って引っ張ることではありません。

     スポーツの監督や有名な人で良い人だなぁ、ああいう人の元で仕事をしたいなぁ、と感じる人がいることと思います。そういう人がプロマネであったらプロジェクトは成功していくことと思います。この章では、そのように振舞えるコツをご紹介します。

  • 第8章 知っておきたいトレンド

    とかくITに関することは、英語・略語・カタカナが多く、自分がわからない言葉が出てくると敬遠したくなります。しかし、自分にはわからない言葉であっても、周りの人が知っていて、知らぬは自分だけという状況になれば恥ずかしくもなるものです。

     例えば、インターネットというキーワードを30年前に知ってる人はほとんどいなかったと思います。しかし、現代にあってインターネットを知らない人は皆無と言ってよいでしょう。

    社会人の常識として知っておきたいことは把握しておきたいものです。しかし、その常識というものは人によって異なります。でも、知っておかないと恥をかくこと、知らないと損することがあるものです。

    知っておきたいトレンドを書き出したらキリがないですが、この章では、RPAやIoT、そして、ブロックチェーンを説明いたします。そして、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」をご紹介します。

HBSへの問合わせ